富士登山顛末記

富士登山顛末記  平成28年8月8日

 

富士山が好きである。

 

昔から富士山が好きで、平成6年に静岡に住むようになって以来、いつもその勇姿を仰ぎ見ておりました。
特にはじめて車を自由に乗れるようになった頃は、予定の空いた週末はその姿を間近で見たいと、ただそれだけで、富士山のふもとをぐるぐる、富士五湖や朝霧高原などにドライブに行ったものです。

 

そうしていると、いつかは富士山に登ってみたいと当然に思えてきますが、これがなかなか機会が訪れませんでした。
それは、本気で登ろうという意気込みが足りなかったからであります。

 

まず、富士山は遠くから眺める山で登る山じゃないよ、とかよく聞きますね。
『日本百名山』には、日本の標高第2位の北岳が”哲人的”で富士山は”大通俗”だとか。まあ、これは文章の一部分を切り取っただけで、オチは富士山は偉大だなあ、となっていたかと思います(私も抜粋で拾い読み程度しかしておりません)。
それとか、ゴミが多くて、人も多いとも聞きます。でも実際は今回道中にゴミは2つくらいしか落ちておりませんでしたよ。もちろん拾って回収しましたが、総じてとてもキレイだったと思います。

 

そして、怖いことも登る気をそぎました。

 

富士山は落石事故がたまに起きてますね。むかしむかし、私、子供ごころに、何人かの登山者の方がお亡くなりになったニュースに衝撃を受けた記憶があります。

 

富士山は火山です。いつか噴火するのではないか、と怖れる訳です。有史以来、何度も噴火をしていて、万葉の時代の書物や竹取物語などには噴煙が上っている様子が書かれていると高校のときに習いましたね。平安時代の頃は50年程度に一度は噴火しているようです。それはともかく江戸時代の宝永の大噴火から既に300年以上富士山は沈黙しています。もういつ噴火しても全くおかしくない時期にさしかかっております。静岡の地元では、東海地震と富士山の噴火にからめたテレビ特番はけっこうな頻度で放送されているので、正しく恐れております。
以前に一度、富士山登ろうかな~、と思っていた頃(たしか西暦2000年前後)がありましたが、その当時、富士山では低周波地震が多発していており、じゃあやめよ、と引き下がりました。

 

それに加え、静岡新聞にはちいさな記事ですが、夏場は本当にほぼ毎日、多い日は3件くらい、富士山で”高山病で動けなくなった”とか”頭痛を訴えて”とか”転倒し負傷”とかで、登山者がSOSを発しており、その救助要請を受けて救助隊が五合目まで搬送した、なんたらかんたら、と載っております。

 

そんなところが、いまいち足を踏み出せない要因だったんですね~。

 

それから時は流れ、最近、ちょこちょこ山歩きをするようになって、再び富士山に登りたいな、と思うようになりましたが、また近年、箱根の火山活動もあったり、御嶽山の噴火を見たりして、やっぱやめだわ、火山は怖い、と断念しました。

 

臆病なのである。

 

でも、こんなことではいつまでたっても登れんぞ、登山中に噴火に遭うなんてまずありえないでしょ、と思い込み覚悟を決め、できるだけ速やかに登頂及び下山することを主題として計画を練り始めたのが平成28年7月下旬の頃でありました。

 

正直、私の富士山に対する個人的な背景を書いてしまいましたが、こんなのはどうでもいいんです。
ただ、登るぞと決めてから、いろいろ調べて見たなかでもわからんな~、と思うところがありました。それでも行ってみたら実際の体験はこうでした、と。そういうところを書いてみて、少しでも誰かのお役に立てれば幸甚です。まあ、何が重要かもそれぞれの方で異なるとは思いますが。

 

私が静岡市在住ですので、富士山富士宮口からの登山に特化した記述になっております。都合の良いことに富士宮口ルートは4つある登山ルートのなかで一番最短で早く登頂できるのです。

 

それでは項目を分けておりますので、気になったところからお読み下さい。

 
 

1.計画

 

富士登山を計画する上で2冊の本を参考にしました。

 

『新・分県登山ガイド 改訂版21 静岡県の山』・・・これはもう私の愛読書。たぶん、山の好きな人は各地元県別の本を持っているのではありますまいか!こちらのいきなり最初の山が富士山ですよ。今アマゾンで見てみたら、「なか見!検索」とかで、最初の方だから富士山のページを試し読みできますね。
実際もこの本で紹介されている、富士宮口登山口→富士宮口頂上→火口をグルっと回る→御殿場口→宝永山→富士宮口登山口、というルートで歩いて参りました。

 

『富士山ブック2016』・・・この本は毎年出てるんですね。この本に載っている写真のご来光を待つ人たち(もう群衆と言って差し支えない)の多さには驚かされます。もう立錐の余地無しですね。こんな満員電車みたいなとこに行くのか?と。

富士登山に関する基本的なことを教えてくれて、写真も多く、行く前も行った後も楽しめる本ですね。

 

それと、シラトリスポーツ 静岡ジャンボ店さんでもらった『富士宮富士登山2016』というパンフレット。詳細な登山地図と、マイカー規制やバスの時刻表まで記載されており、無料配布なのはありがたいです。

ついでに、ここの売り場で新しい登山用ソックスを買いました。

 

もちろん、インターネットの関連するサイトもたくさん拝見しました。

 

それで、私の今回の富士登山に対する前提と決定事項は以下の通り。

 

■雨は絶対イヤだ。雷もコワイ。少しでも天気が崩れるならすぐに引き返す。ありがたいことに静岡市からならば、2時間もあれば登山口に立てるであろう。だから決行は前日に天気予報を見てから決めよう。

 

お子さまの夏休み期間(とはいえ、ふつうの人が富士山に登れるのはほぼこの期間と同じでしょ)の土日とお盆の頃はむちゃ混みと書いてある。なので、お盆休みの少し前の平日ならピークの前ってことで、すいているのではないか!と思ったね。

 

ご来光には興味がない。特に写真で見たような混雑には巻き込まれたくない。しかし、せっかく登るのだから眺望には期待したい。夏場はどんな山でも午後には雲が立ち込めてくる。したがって、午前の早い時間帯に登頂していたい。

 

ということは、夜間に登るしかないか。いつも一緒に山に登っている相棒がいるのだが、今回は平日に行くので単独登山である。ワタシ、変化のない登山は飽きてきてしまうのです。甲武信ヶ岳という山がありますが、そのときの体調と心境にもよるかもしれませんが、戸渡尾根コースというコースで登りましたが、まあ単調だわ、展望は効かないわ、疲れるわ、で、もうヤになってストレスすら覚えたほどである。以上余話であるが書いておきたい(ここだけ司馬遼太郎風で)。
結論。夜間に登るのは避けられないが、展望もない暗い中をひとり会話もなく歩くのは退屈してしまう気がする。視界が限定される中、落石も怖いではないか!ならば、少し歩いたら明るくなる時間帯から出発すればいいのさ。つまり、登山口に午前3時半から4時頃に立つ計画。

 

車で行く。富士山はマイカー規制中だ。事前情報によると、ふもとの「水ヶ塚駐車場」に車を置いて、富士宮登山口五合目までバスかタクシーで行かねばならない。「水ヶ塚駐車場」は1,000台も駐車できるそうだ。料金は1,000円。そこから五合目までバスなら片道1,150円。安くていいですね。ただし、駐車場への到着は午前3時ごろなので、もう運行時間は終わっている 。いくつかのサイトで見たんですが、ここ数年は夜通し登ってご来光を見て下りてくる日帰り「弾丸登山」の自粛を呼びかけているため最終バスの時間も早くなったようですね。仮に20:00の最終バスに乗るとして、ご来光までの時間はどうしたら良いのだ?登頂して3~4時間、寒空の下、やることもないでしょうに。

 

水ヶ塚駐車場」には、24時間、何台かのタクシーがお客さんを待っているというけど、どんなシステムなのだ?たとえば、北岳登山の広河原に行くための「芦安駐車場」みたいに、来た登山客をタクシー会社の人がどんどん割り振って乗せてくれるのか?それに、たまたま客が誰もいなければどうする?一人で乗ってもいいが運賃5,000円~5,500円(夜間2割増し)くらいするってよ。ちょっと厳しいよね。最低でも2人で乗りたいよね。乗り合いを断られたらどうしよう。こんなところで傷つきたくないぞ。ええい!行ってみたとこ勝負だな。この点だけいろんなサイトをまわったけど、わからずじまいでした。

さて、Googlemapによると、静岡市駿河区小鹿3丁目の久保不動産から水ヶ塚駐車場」までは、東名高速静岡ICから富士ICで下りるルートで1時間26分だ。途中で腹ごしらえとコンビニで昼食を買っていくため午前1時に家を出ることにする。

 

上記が決まりましてから、私個人の夏休みが8月7日からだったけれど、天気次第で行けるうちに行っとこうという具合で、リオ五輪を見ながら昼寝をして準備をしておりました。8月8日は天気が良さそうです。

 
 

2.出発→富士宮登山口五合目まで

 

よく寝た。

 

静岡ICに入る前に吉野家によっておきたい。いつもは特盛りを食べるのだが、今日は並にする。起きてからぐずぐずしてしまったので、けっきょく家を出たのが午前1時ごろでした。静岡ICの取り付け道路沿いの吉野家さんでいただきました。

 

たぶん静岡ICから東名高速に入ったのが午前2時ごろ。富士ICを下り国道139号線を走るとわかりやすく「登山道入口」という交差点があります。ここを右折です。
それからずーっと一本道なのだが、驚くべきことに水ヶ塚駐車場までずっとひとりぼっち。前後はおろか対向車も来なくて到着まで30分くらいでしょうか寂しい思いをしました。それでも、ときおり富士山の方角にぽつんぽつんと明かりが見えるんです。その配置から見てきっと山小屋だろうな、と思い気持ちも高揚して参ります。

 

午前3時18分、水ヶ塚駐車場に到着。係のおじさん(敬愛の念をこめて)に1,000円を支払い誘導してもらいます。聞いたら「今日はすいてるよ」とのことです。たしかに車はゆとりある間隔で駐車されてます。懸念事項のタクシー問題が頭をよぎります。乗り合いできる人がいなくてオレ1人でタクシー代5,000円超ですか、と。
車をとめて、登山靴に履き替え装備を持ち、タクシー乗り場に行くと7台のタクシーが待っていました。やはり登山客は私ひとり。タクシー乗り場のおじさんに乗り合いで行きたい旨を告げると、そこで待っててね、と指示を受けました。

 

早く誰か来てくれー、でもグループはダメだ。2人組が最適です、と都合の良い勝手な希望を祈っていると、5分くらいたってから40代と思しき男性が来てくれました。タクシーのおじさんに「声をかければ」とうながされたので、ああ、客同士で乗り合いの合意をするのね、と合点し、「お一人ですか~?ご一緒に乗りませんか~?」とお声掛けをしたのでした。ここで、この方が、運賃ワリカンのためもう一人待つ、とかで拒否されたら出発が遅れてしまう。でも結果は快く「行きましょうか」と言って下さったのであります。

 

タクシーに2人で乗って出発!

一緒に乗ってくれた男性は静岡市清水区の方でした。なんだお互いすぐそばに住んでるじゃないですか。富士登山は今回で5回目だそうです。タクシーの運転手さんは本日バスの終了後に、これが5回目の往復だそうです。2度ほど運転手さんが「シカがいるよ」と教えてくれたんですが、後部座席からなのかタイミングが悪いからなのか、見れませんでした。

 

富士宮口五合目に到着。所要時間約25分程度かな。タクシー料金は5,080円です。同乗してくれた方が2,000円でいいですよ、とおっしゃる。さすが清水の人はきっぷがいいね、と思ったが、それはいけません、ときっちり2,540円のワリカンとしました。

 

清水の方はすぐに登山に行ってしまわれましたが、私はここから望む夜景にしばし見とれてしまっておりました。スゴイ・・・。眼下にひろがる、おそらく富士市富士宮市の明かりがまたたいて見えるのです!夜景がまたたいて見えるのは初めての経験です。キラキラですよ。

 

私たちが降車してすぐに後続のタクシーがやってきたんですが、このタクシーに乗っていた方々は「富士山保全協力金」を現地で集金する方々でした。私が夜景に圧倒されているあいだに、協力金集金のための準備をされていました。こんな朝早くからまったくご苦労様です。富士山登山のために、任意ではあるが1,000円をお支払することは知っておりましたが、この瞬間まではすっかり忘れておりました。そりゃあ登らせていただくんですからそれくらいのことはさせていただきますわ(実際に声に出してはおりません)、ということで早速1,000円をお支払いしました。この「富士山保全協力金」はコンビニ、インターネットでも受け付けているので、現場を素通りしている人を蔑視する必要はありません。ワッペンとバッチと『富士山ぐるり旅手帳』という小冊子をもらえるよ。

 
 

3.登山開始→富士宮口頂上まで

 

ものの本には、高山病を予防するため五合目で一時間ほど体を高度に慣らしてから登山を開始しましょう、と書いてあります。繰り返しますが、私のように、火山活動を怖れ、なおかつ、天気のよい早朝に登頂しておきたいと思う者にはそんな時間的余裕はございません。

 

たまたまですが、午前4時ちょうど、富士宮登山口スタートの地図看板に立って、登山開始です。4時ちょうどのスタートなのでスケジュールが立てやすくてよかった。

 

 

登り始めてすぐにトイレが有ります。まずここに寄っていくことにしました。有料です。

 

それにしても、あてが外れたのは、人がいないことです。登山道にはヘッドライト以外に光はなにもない。タクシーに同乗した清水の方ももう先の方へ行ってしまってるんでしょう、とにかく前後50mくらい(?)は灯り無し。私ひとり。
雑誌や新聞で登山者の行列のヘッドライトの光の帯の写真をこれまで何度か見ましたが、それはもう少し上の方かな。

夜間の登山は初めてですが、高揚感からか心細さも無くずんずん登っていきます。でも、こんな夜間登山が許されるのは富士山ぐらいなもんで、普通の山でこんな時間に登ってたら絶対に怒られますよ

足元が危ういところも無くほぼ一本道。頭上の木の枝に頭をぶつけるということもありません。クマに遭うかも、という心配もないですからね。そう考えてみると、普通の山よりかなり安全な登山ができるのかな、と思いました。

 

ヘッドライトの灯りを頼りに登っていくのですが、存外登りやすいです。歩幅もヒザを上げる高さもそんなに変わらないのでペースよく行けます。そして、時折、振り返って夜景を見る。本当に美しい。

 

細かな記憶はないので怪しいのですが、30分ほど歩いていたら明るくなってきたような覚えがあります。ホントのまっくらやみは30分ほどで、すぐにヘッドライトはしまいました。それでも、まっくらやみの中で夜明けを待っている人たちがぽつんと座っていたりして、いきなりの感もあったときはちょっとびっくりしましたね。三組くらいそのような人たちがいらっしゃいました。

 

午前4時55分、七合目(2,780m)に到達。スマホで撮影しているので時間を後で振り返られるので良い。ここは”新”七合目だそうです。もう十分明るいですね。


 

 

午前4時59分撮影。

 

これを書いてるときにネットで調べましたら、当日の富士山山頂の日の出時刻は午前4時48分らしいです。しかし、富士宮ルートは、写真左のこんもり、宝永山がご覧のように邪魔して、日の出が見えません。このことは出発前に調べていたら載っていた情報なので知ってはいましたが、思いの他、宝永山がでかいのです。富士宮ルートで日の出の瞬間を見たければ、八合目より上にいないといけないそうです(私自身確認せず)。

 

太陽はまだ姿を見せませんが、駿河湾の水平線にあわせて紫色のラインを見ることができます。そういえばユーミンのアルバムで『DAWN PURPLE』という作品があったわね、と何年ぶりかに思い出した一瞬でした。実に荘厳。

 

駿河湾、伊豆半島、富士川、三保半島、そして、我らが地元の日本平周辺まで一望にできるようになりました。感激です!今日はいい天気になりそうです。

 
 

午前5時30分、元祖七合目(3,010m)に到達。ちょうど一休みしようかな、と思ったいいタイミングで山小屋がある。

 
 

午前6時07分、八合目(3,250m)に到達。

おお、知らぬうちに既に北岳(3,193m)を超えているではないか!私の人生で最高高度更新だわ(飛行機除く)。
日本第2位の北岳に比べ、富士山がズバ抜けて高いことに改めて実感させられる。その差583m。


ここでセブンイレブンのミルクフランスパンとアミノバイタルゼリーで腹ごしらえですよ。ちょっとゆっくりしました。人も増えてきました。
 

鳥居をくぐりました。絶景ですよね~。富士山八合目以上は浅間神社さんの境内で私有地でしたよね。後日の新聞で知りましたが、この八合目あたりで、登山者数を24時間カウントしている赤外線センサーがあるらしいよ。
 

このころになると、登る人もお疲れか止まっている人も多く、さらには下山してくる人とすれちがいのため、混雑で待っている時間も増えてきました。登山道も広いあたりは、ほいほいとすり抜けて登っていきますが、なかなか追い越すに厳しい箇所もあります。こういうときどうすればよいか。パーティーのだれかが、「下から来てますよ~、道をあけてあげて下さい~」と言ってくれればありがたいのですが、完全に5分ほど止まった瞬間がありました。これはらちが開かない。

渋滞というより大人数が疲労のため止まってしまっている様子。そのとき、私の後ろに3人の男性の外国の方(会話が英語ではなかった、たぶんフランス語っぽいなあ)も一緒にお待ちかねでしたので、マナー的にどうかな?と思いましたが、後ろの外国人に「レッツゴー!」と声をかけて、私が「しーません、しーません」と言って、4人で進んでしまいました。登山道を踏み外してはおりませんので、念のため。

 

下山してくる人のなかでは、お子さまの数が多い印象。そして、お子さまは大人より元気だ。

 

午前6時36分、九合目(3,460m)に到達。自販機がありますよ。富士山はスゴイですね。

 

 

午前7時07分、九合五勺(3,590m)に到達。あとちょっとですよ。

 

午前7時44分、富士宮口頂上だ~!(3,715m)

登りきったところは平坦になります。

この少し手前に真新しい鳥居がありました。なんとその鳥居はこの日の前日に建てられたものらしいです。写真を撮ったと思っておりましたが忘れておったようです。残念無念。その鳥居に建立の日付が書かれており、その場にいらした関係者の方と思われる方と二言三言お話しさせていただきました。
その鳥居をくぐって富士宮口のゴールです(上の写真の鳥居のことではございませんので)。

 

所要時間3時間44分。4時ちょうどのスタートだからわかりやすい。

なんだ、こんなにあっさりと登れるのならもっと前から気軽に来ればよかった。
メールが通じるようなので、いつもの登山の相棒と一応ウチの奥様にメールを送信。

 

しかし、あんなにいい天気だったのに、10分前くらいから急に雲が立ち込めてきております。
そして、この写真の鳥居の奥に富士山本宮浅間大社奥宮さんがございます。特別な信仰心はありませんが、静岡市内の静岡浅間大社(古くは徳川家康の元服式の神社です)さんには、毎年の初詣をはじめ、私自身の3ヶ年に渡る厄払い、2人の子どもの七五三と、日頃よりお世話になっており、いわばかかりつけの神社さんでございます。こちらでお参りをして御守りを購入させてもらっていたりなどして、建物の外に出ましたら、、雨までいかないけれど、スプレー状の水滴が強風とともに我が身に吹き付けてきます。

 
 

4.御鉢めぐり

 

富士山頂噴火口を一周することを”御鉢めぐり”というそうです。一周約2.6km、コースタイムは1時間20分、標高差70m程とのこと。私は時計回りに歩きます。

 

天気が急変しました。10分の間にまるで違う光景です。神社へ行って山頂の頂上富士館さんの裏手のトイレ(300円)に行ってる間に世界が変わっておりました。ちなみにこちらに自販機がありますが、500ccのペットボトルのお茶は500円でした。

 

強風とともに水滴が吹き付けて手先がかじかんできたので、手袋をつけます。カッパを着るほどではないが、1時間半近く、この天気のもと歩くのはつらいなあ、遠くの景色はおろか足下の火口も見えやしない、と思い、引き返そうかとも思いましたが、日本最高地点の剣ヶ峰(3,776m)に立たないのは何とももったいない、と思い直し、そこまでは行こうと思いました。

 

剣ヶ峰に登る坂があります。実はこの登山のなかで一番きつかったのがココです。けっこうな斜度の坂道で、なおかつ、雨で濡れていたためか、とにかく滑る。登りづらいので体力を使いますし、相当慎重に行かないとすべり台のように坂の下まで落っこちてしまいそうです。ムーンウォークもできるのではないかと、スリップしながら登るといったかんじです。

 

のろのろと登りきると、日本最高地点標識との写真撮影のため順番待ちの列ができておりました。日本人、外国の人、7組くらいいたでしょうか。それぞれ前の人後の人とかいった具合に写真を撮り合っておりました。私も写真を撮ってもらいました。列に15分ほど並んでいたかしら。


(午前8時29分)

すぐそばの二等三角点。二等!?二等でいいのか?


このころになると、風もやみ天気が少し回復してきたようです。視界は悪いですけどね。予定通りのルートで決行することに決めましたよ。

 

再び歩き始めましたが、また、天気も悪化し始め、まえうしろ誰もいない状況が続くことになりました。もとより雨のような霧のような水滴の混じった強風で、視界が10mも効かないくらいなので孤独感が強まります。

ありゃー、富士山はあんなに混雑の山だって書いてあったのに。

たま~に向こうから歩いてくる人とすれ違うくらいです。
道はわかりやすいのですが、右側は火口なので(霧で見えません)落ちるわけにもいかないけど、左側も似たようなもので落ちたらただでは済みますまい。天気が良ければ左手には南アルプスや八ヶ岳が望めるであろう、ということらしいのですが、しかたありません。

 

そのうち、だだっ広いところに出ました。こういう広いところで視界の効かない状況は方向感覚を失うので注意が必要です。といっていたら、ホントに方角がわからなくなってしまいました。

まずいぞ、これは。

ちょっとヒヤッとしましたよ。10分近く誰にもあっていないさなかの出来事だったもので。
それでも地面の地表にパイプのようなものが埋まっているのがわかりました。これをたどって進んで行くと、真正面にロープでとおせんぼしてある場所に着いたので、右か左か、う~む、とキョロキョロしていたら、左の下の方に屋根のようなものが見えました。そちらに歩いていったら、山小屋があったので安堵しました。

 

山小屋が3軒ならんでおり、登山者もたくさんいてホッとしました。ベンチがあったので、やれやれと腰をおろし、たまたま隣にいた若いお兄ちゃんに、どこから来ました?って尋ねたら「三島からです」と答えるので、どのルートで来たの?と更に聞くと、「須走口ですよ」と指差した方向を振り返ると登山道が見えました。

ここは須走口と吉田口ルートの頂上到達点だったんですね。

 

少しばかりその場で休憩していたら、なんということでしょう、人の載ったブルドーザーが目の前を通っていきました。

標高3,700mにブルドーザー・・・。単純にすげえ、と思いましたよ。

 

天気のそれ以上の悪化は収まったようでしたが、視界が悪いのは変わりません。私の予定ルートは御殿場口からの下山ルートなので、まだまだ山頂部分で歩かねばなりません。道が単調で視界も悪いせいもあり、正直、私自身もう飽きてしまい、すぐにでも下山道に行き着きたかったんです。

 

ようやくの思いで、御殿場口の登山道までやってまいりました。
午前9時21分です。
さて、ここには、富士山頂郵便局があります。なんか、ここは仮設みたいですよ。2017年からは場所も変わるそうな。皆さん各自ご確認の程を。

 

そして、御殿場口の標識。この写真にもありますが、一歩3メートル余りで下ると書いてあります。
こりゃ、ちょっと盛りすぎじゃ。3メートルなんてほとんど三段跳びでしょうが。とつっこんでも詮無いので、下山するとしましょうかいね。

 
 

5.下山開始→宝永山へ

 
御殿場口から下山開始です。このまま、ぼーっと歩いていくと全然ちがう場所に下りていっちゃいますからね。出て来る標識に注意せねば。
午前9時21分。
 
御殿場ルートはすいてますなあ。人影まばらですよ。
御殿場ルートは大砂走りという砂だらけの道を歩くのですが、これがこのルートの大きな特徴となっております。
少し下りてきたら雲も切れてきました。頂上付近だけ天気が違ったようです。
 
下山開始後、ゴツゴツした岩の多い道を歩きます。私の印象ではこれがけっこう長く続きます。いつになったら大砂走りといわれる場所に着くのでしょうか、というくらい単調な道が続きます。
ただ、眼前には外界の雄大な景色!いくら見ても見飽きぬ光景ですね。
 
途中、山小屋の残骸があるところを通ります。このルートは登ってきた富士宮ルートのように山小屋が次々と出てくるというわけではありません。登山者の数も段違いに少ないですよね。
実は下山開始直後からトイレに行きたかったんですよ。切羽詰まった状況ではないけど、次の山小屋でトイレに寄っていこうと思いながらも、行けども行けども山小屋が出てこないよう、と覚えております。
 
それでも、砂だらけの道に到達しました。砂が深いです。確かに、歩くスピードと走るスピードの中間くらいの速さで下りていきます。
山小屋でトイレに寄らせていただいた記憶がありますが、前後関係含め、どの辺りの場所かよく覚えていません。
 
標識があります。目指すは宝永山方面です。
 
宝永火口のふちの向こうに駿河湾が見えますね。
宝永山の山頂に行くまでの道です。このあたりまで来るともう寒くはありません。
火山口のふちを歩いているのですが、ものすごい強風です。
 
このもりあがった土の頂点が宝永山山頂らしいのよ。
このとき生まれてこのかた経験したことのない強風に襲われております。
テレビのレポーターじゃないから台風の日は外に出ないでしょ。とてつもないですよ。まっすぐに歩けません。砂も小さな小石も飛んできてますよ。
 
火口を見下ろすように撮った写真です。真ん中にこれから歩く道が通っておりますが、あのへんまで行けば風を避けられるだろうなあ、と思い強風と戦っておりました。
 
宝永山山頂到達。午前11時5分。
宝永山の標高は2,693mであるか。火口はさらにこの下だから、一番高いところから1,100m以上低いところから噴火したのね。また中途半端な・・・。